ワクチン接種が急ピッチで進む中、気になるのは接種率が高くなった後の生活だ。どのようなものになるのか。AERA 2021年9月6日号は専門家に聞いた。
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菅義偉首相は、緊急事態宣言などの対象地域の拡大を発表した25日の会見で、国民のワクチン接種率が高くなった際の経済活動についてこう述べた。
「ワクチン接種証明書の積極的な活用方法を含め、飲食店利用、旅行、イベントなど日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討する」
ワクチン接種が進む欧州諸国や米国の一部の都市、シンガポールなどではワクチン接種の有無によって、レストランでの会食やイベントへの参加を認めたり、逆にワクチン接種をしていない人には検査を要求したりという動きが出ている。
ワクチンを自分の意思で打たない人からは「差別だ」と批判も出ている一方、打った人からは「ワクチン接種や検査で感染のリスクが低いと確認してもらった方が、安心できる」という声もある。
■重症化抑止効果は続く
今後、ワクチン接種が進んだ後には、どのような生活になるのか。松岡雅雄・熊本大学教授(血液・膠原病・感染症内科)はこうみる。
「ワクチンを1度完了すれば、中和抗体が下がっても重症化を抑える効果は続きます。3回目の接種などで追加免疫をすれば、再度、抗体が上がり、感染を防御できるようになります。
新型コロナウイルスはまだ何年も続くと考えられます。インフルエンザのように、患者さんが自宅で飲める薬が登場するまでは、ワクチンやマスク、手洗いといった今ある感染防御対策を続けながら、多少の感染が起きることは前提に、飲食店も含めて少しずつ、経済活動を再開させていくしかないでしょう」
(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)
※AERA 2021年9月6日号