恋人、何人、定義、バーベキュー、家……。グーグルで「会食」を検索すると、関連キーワードとしてこんな言葉がずらりと並ぶ。その幅広さからもわかるように、「会食」の定義は人によって様々なのだ。
新橋を行き交う人たちに尋ねると、「5、6人以上で、カフェやフードコート、社食以外の場所で飲食するのは会食。ただし、家族や恋人は除いていい」(45歳・男性)、「2人であれば、時間やアルコールの有無は関係なく会食だと思わない」(31歳・女性)、「きちっとした服装で、高級な店で飲食するのが会食」(28歳・女性)などそれぞれの会食観が垣間見えた。
■お茶しかしていない
「会食は人によって定義が違い、いかようにでも解釈できる言葉です。ただ、会食禁止の本質には、複数人での食事は控えようという意味がある。たとえ友達とコーヒーを飲んだだけであっても、会食と考えていい」
そう説明するのは、ナビタスクリニック(東京・立川)の内科医・山本佳奈さんだ。クリニックには、10代の患者も多く来院する。「会食はしていない」という陽性患者に質問を重ねると、部活の後に友達とご飯を食べた、昼なら大丈夫だと思ったとこぼす人もいるという。
「『食事じゃなくて、お茶しかしていない』と話してくれた高校生もいました。現場でも会食という言葉に対して、認識のズレがあると感じることがあります」(山本さん)
自治体によっては、「会食」以外の言葉で聞き取りをすることもある。みなと保健所(東京都港区)の担当者は言う。
「ランチやお茶といった聞き方をしています。『まさか相手が感染しているとは思わなかった』という声も多い」
いくら「会食」じゃないと思っても、マスクを外して食べたり話したりすれば感染リスクは高くなる。それだけは肝に銘じたい。(編集部・福井しほ)
※AERA 2021年9月6日号
