綾瀬はるかさん(c)朝日新聞社
綾瀬はるかさん(c)朝日新聞社
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 新型コロナウイルスに感染し、入院した女優の綾瀬はるかさん(36)に対し、ネット上では憶測に基づいた中傷コメントがあふれた。何の根拠もないのに、なぜ入院中の当事者を叩いてしまうのか――。精神科医は、中傷を続けてしまう「依存症」に陥っている可能性を指摘し、「最終的には叩いた側も不幸になる」と警鐘を鳴らす。

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 綾瀬さんの入院は8月31日、事務所が発表した。発熱の症状が出た綾瀬さんは3回、抗原検査やPCR検査を受けたがいずれも陰性。発熱が続いたため26日に4回目の検査を受けたところ陽性判定が出た。当初は自宅療養だったが、その後、肺炎の症状が出たため入院となった。重症か中等症かなど、具体的な程度は明らかにされていない。

 入院の一報や、これらの経緯がネットニュースで報じられると、記事のコメント欄には「上級国民だから入院できた」「ホリプロがあらゆるコネやお金や頼み倒して、いくつもの病院にお願いした結果ではないでしょうか(原文ママ)」「裏の力が働いたのかな」などと憶測に基づいたコメントや、入院する必要がないと一方的に決めつけて批判するコメントが殺到した。

 何の根拠もなく、今まさに入院中の人をなぜここまで叩いてしまうのか。コメントの中には事実かのように断定して書いたものもある。ネット中傷に詳しい弁護士によれば「名誉毀損に当たる可能性がある」と、AERA dot.では9月4日に詳報した。

ネット中傷に「仮面効果」

 想像するのは自由だとしても、なぜわざわざ書き込んでしまうのか。精神科医で心理学者の、ゆうきゆう医師(ゆうメンタルクリニック理事長)は、こう言う。

「ネットの中傷には、仮面効果というものが関与しています。仮面効果とは、『人間は仮面をかぶると、人に対して悪意的な対応や残酷な対応をしやすい』という心理学的な傾向を言います。ネットだと匿名で顔が見えないことにより、攻撃的な面がより出やすくなります」

 ゆうき医師によると、誰かの中傷やバッシングをすると、脳内に「ドーパミン」という快感をもたらすホルモンが放出されるという。

 綾瀬さんを中傷した「コメ主」の他の投稿をみると、様々なニュースに噛みついている人も少なくなかった。ならば彼らは快感を得続けているのかと思いきや、話はそう単純ではない。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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