俳優・脚本家の佐藤二朗さん
俳優・脚本家の佐藤二朗さん

 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、佐藤さんを取り上げて話題になったネットニュースについて。

【写真】意外な組み合わせ!紗倉まなとあの著名人の対談

*  *  *

 仕事で大阪に向かう新幹線の中だった。

 何人かの知人からメール。

「ふふ。脇汗。ふふ」

 なんだこれは。なんのメールだ。

 大阪に着き、仕事場に入るとスタッフから、

「また二朗さん、ネットニュースになってましたね」

 まあ僕らの仕事は請われるうちが華、扱われるうちが華。ネットニュースに扱われるのはむしろありがたい。

 ただ、最近なにかをやらかした覚えはない。いや、わりと日々やらかしてはいるが、せいぜい家で晩酌してて、つい呑み過ぎて妻に怒られるとか、「うえ~い、お母さん、うえ~い」と妙なテンションで妻に絡んでたら(注・シラフで)妻に怒られるとか、ゲームをやる息子の気持ちが分かるためという大義名分でゲームを始めてみたら息子以上にゲームにハマってしまい妻に怒られるとか、わりとフォーマルな場にジャージを着て行こうとして妻に怒られるとか、せいぜいそれくらいしか、やらかしてない。わりとやらかしてるな俺。むしろ常時やらかしてるな。そしてそのほとんどが、というかすべてが、妻に怒られるという末路を辿ってるな。

 一体どんなやらかしによりネットニュースになってるか、楽屋で検索してみた。

 オーノー。

 そのネットニュースのタイトルは、

『佐藤二朗 紗倉まなの「脇汗」コメントに我を失う』

 なんだ。

 なんだ。この秀逸なタイトルは。

 感心している場合ではない。

 TOKYO FMで僕がやってるラジオ番組「佐藤二朗のRADIOジロー」に紗倉まなさんがゲストでいらっしゃったのだが、その放送前、紗倉さんが自身のツイッターで「大好きな佐藤さんに会えて感動っ…!!!興奮して脇汗かいたー!!!」と呟いておられた。

 ごめん、平静を装って書いてるが、これ、改めて自分で書いてみると、アレだね、いいね。すごくいい。もう一回書いていい?いやもうダメって言われても書くから。同じこともう一回書くから。

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佐藤二朗

佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家、映画監督。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や映画「幼獣マメシバ」シリーズの芝二郎役など個性的な役で人気を集める。著書にツイッターの投稿をまとめた『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)などがある。96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がけ、原作・脚本・監督の映画「はるヲうるひと」(主演・山田孝之)がBD&DVD発売中。また、主演映画「さがす」が公開中。

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