そうした局長会活動への参加をためらい、局長となる道をあえて選ばない社員もいる。

 局長になってからも茨の道だ。局長会で先行して決めた局長たちの役職が、ほとんどそのまま連動して日本郵便での役職に反映されている実態は、拙著『郵政腐敗 日本型組織の失敗学』(光文社新書)でも詳述している。

 局長は局長会で出世を果たせば、日本郵便の役職もほぼ自動的に昇格していく。しかし、局長会で出世できなければ、会社でも「ヒラ」レベルにとどまるのが大方の宿命となる。

 問題なのは、局長会における評価が必ずしも日本郵便社員として優れているとは限らないことだ。たとえば、選挙運動に消極的で得票を稼げないような局長は局長会での出世が見込みにくくなり、仕事の能力とは関係のない理由によって会社での出世も阻まれる恐れがある。そうしたいびつな実情を日本郵便経営陣も知っているはずだが、問題に斬り込むどころか、局長会の人事をほとんど追認しているという事実まで否定して目をそらしている。

 今年は郵政事業の創業150年という記念すべき年だったが、不祥事にまみれて沈みゆく姿勢ばかりが際立っている。

(朝日新聞経済部 藤田知也)

◆ふじた・ともや 朝日新聞記者。早稲田大学大学院修了後、2000年に朝日新聞社入社。「週刊朝日」記者、特別報道部などを経て現在、経済部に所属。近著は『郵政腐敗 日本型組織の失敗学』(光文社新書)。郵便局長会に関する情報を募っています。筆者への情報提供はfujitat2017@gmail.comへ