西原憲一(にしはら・けんいち)/税理士、ファイナンシャルプランナー。UFPF代表。税務コンサル会社に勤務後、2000年に独立。iDeCoやNISAなど資産運用にも精通する税金のスペシャリスト(写真/本人提供)
西原憲一(にしはら・けんいち)/税理士、ファイナンシャルプランナー。UFPF代表。税務コンサル会社に勤務後、2000年に独立。iDeCoやNISAなど資産運用にも精通する税金のスペシャリスト(写真/本人提供)

「そう考えると、iDeCoの受け取りを一時金と年金の組み合わせで節税したい場合、退職所得控除の範囲内に収まる部分は一時金として受け取り、収まらない部分は60歳から64歳の間に年金で受け取る。

 それでもまだ受け取りきれないとわかっている場合は、少し税金がかかっても一時金で事前に多く受け取ったほうが、現実的かもしれません」

 つみたて中は掛け金が所得から控除される分、現役時代にトクした税金を考えれば多少の税金がかかるのは仕方ないことなのか――。

 特に会社員時代に高所得だった人は、掛け金の所得控除によるメリットは大きい。年収700万円~1050万円の人が毎月2万3000円のiDeCo拠出をしていたら、得する所得税・住民税の合計は年8万2800円。20年続ければ、165万5600円にもなる。

 年収1100円なら年8万3913円、20年で167万8260円。年収1200万円なら年9万1080円、20年で182万1600円(いずれも「AERA Money2022秋冬号」の試算結果より抜粋)。

 なかなかの節税額である。最後に数十万円の税金が発生しても、「まあ、仕方ない」と思うしかない。

(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍) 

※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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