
映画「MINAMATA」でジョニー・デップと共演を果たした俳優の美波さん。作家の林真理子さんとの対談で、自身のルーツや国際的に活躍していく意気込みを語りました。
【ジョニー・デップは「ほんとに気配りが素晴らしくて…」 美波の「共演秘話」】より続く
* * *
林:いま美波さんは、ロスと東京と……。
美波:パリにおうちがあって、3カ所を転々としています。
林:三つおうちがあるんだ。
美波:このあいだも香港映画に出たんですけど。
林:どんな映画なんですか。
美波:ニコラス・ケイジがアカデミー賞の主演男優賞をとった「リービング・ラスベガス」で有名なマイク・フィギス監督の作品(原題「Mother Tongue」)で、香港のジョシー・ホーという女優かつ歌手の方がプロデュースしています。彼女と私がちょっと年の離れたレズビアン夫婦の役で、このあいだ完成版を見たら、すごく映像が美しくて、感激しました。
林:美波さん、女優として国際的に活躍していくんですね。
美波:そうありたいと思って、目指しています。
林:どのぐらい前からそう思ったんですか。
美波:フランスに留学した28歳のときですね。
林:文化庁の、若い芸術家を海外に研修に行かせる制度(新進芸術家海外研修制度)を使って、フランスに行ったんですね。
美波:はい。私は父がフランス人なんですけど、日本で育ったので、フランスに住んだことはなかったんです。それで自分のルーツを確かめたかったのと、身体表現の技術を学びたくてフランスに1年行ったんです。そのときに、自分にはフランスの血が流れているんだなと、はじめて実感したんですよ。フランスの空気と、心臓の鼓動が一緒だったんです。じつはもともと、日本では生きづらくて、ちょっと窮屈に感じることがありました。小さいときから「私は日本人じゃないから、日本人に合わせなくちゃ」と思っていたふしがあって、中学から日本の学校に通うことを、自分で決めたんです。
林:それまではインターに?