シモキタカレッジ/コミュニケーションを重視し、共有スペースが多く設けられている(写真:HLAB提供)
シモキタカレッジ/コミュニケーションを重視し、共有スペースが多く設けられている(写真:HLAB提供)

「大学の友達とはどんなに話が盛り上がっても、時間が来たら別れないといけません。でも、ここでは人生の話とかについて、気が済むまで、夜を徹して話せる。しかも、違う大学や社会人の人とも話せるので視点が広がります。7月に大学のビジネスプランコンテストに参加したときも、カレッジ生やそのネットワークを通じて多くのフィードバックが得られ、優勝することができました」

 社会人の齋藤イングリッド小巻さん(24)はリモートワークが長期化するなか、人との関わりを求めて入居した。「女性の生理」をテーマにしたレクチャーを立ち上げたり、屋上菜園やコンポストを活用したエコ生活を楽しんだりしている。

 前出の小林さんは言う。

「大事なのは、多様性のある場を提供するだけでなく、個々人が多様性の中から学び、それを力に変える能力を育むことです。そこにレジデンシャル・カレッジの肝があり、そうした能力はこれからの日本でますます重要になるのではないでしょうか」

 コロナをきっかけに、大学への入構は制限され、授業はオンラインが主流になり、学生や教員が対面で交流する機会が激減した。こうしたなか再認識されたのは「講義」のコンテンツだけでなく、「コミュニティー」を通じた学びの大切さだ。「寮」は古くからあるコミュニティーの形だが、その教育効果に新たな光が当たり始めている。

■メンター役として同居

 今年4月、東京都西東京市に1年次を全寮制とする、新しい学部が生まれた。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部だ。学部長はZアカデミア学長で、『1分で話せ』などのベストセラーのある、伊藤羊一さん(54)。自身もメンター役として、寮で暮らしている。

 アントレプレナーシップ学部は、現役の実務家の教員による実践中心の授業が特徴だ。主体的に自分の人生を歩み、社会に貢献する人材を育むことを目的にしている。しかし、主体的に生きるといっても、自分が何をしたいのか、どう踏み出したらいいのかわからないケースは多い。学生に限らずビジネスパーソンも同様だ。伊藤さんは言う。

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