法政大学大学院教授(現代政治分析)の白鳥浩さんも言う。
「少数派閥出身の宰相であるということが、常に岸田首相の足かせになっている。主体的に何かを決断しようにも、党の皆がついてきてくれるかどうか自信がない。だから判断が遅れる」
「聞く力」というキャッチフレーズも自信のなさの裏返しだと白鳥さんは分析する。
「『私は聞く力があります』とわざわざ言うのは、自身にも、そして自分の聞く力にも本当は自信がないから。周囲の話を最後まで聞いて、世論の帰趨(きすう)を最後まで見て、ただ多数派に乗っかっていこうとしているのでは」
■危機管理能力の欠如
さらに決定的に欠けているのは、国のリーダーとしての危機管理能力だと指摘する。
「葉梨前法相の件でも、問題が確認できた時点で即刻更迭するのが『正解』でした。泣いて馬謖を斬ることが求められたはずで、辞表を待っているようではリーダーシップはとれません。過去の首相は良きにつけ悪しきにつけ、小泉純一郎氏の郵政民営化、安倍氏のアベノミクス、菅氏のワクチン100万回など、リーダーとして『ワンイシューで一点突破』の気概がありました。岸田首相はやりたい方向性が国民にはよくわからない。ある意味、世論が読めていないからとも言えます」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年11月28日号を一部改変