タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
【写真】昨年9月に発足した菅義偉内閣に女性閣僚は2人しかいなかった
* * *
アフガニスタン111位、日本147位。これはなんだかわかりますか? 今年3月に世界経済フォーラムが発表したグローバルジェンダーギャップ指数2021の、政治分野における男女格差の順位です。順位が低いほど格差は大きくなります。日本は156カ国中147位。アフガニスタンより36も低いのですね。
2006年から毎年行われているこの調査では、教育、健康、経済、政治の4分野における男女格差を指数化。調査に必要な最新データの揃っている国が対象となり、アフガニスタンは今回初登場です。
女性を徹底的に抑圧した旧タリバン政権が倒され、民主化の取り組みが始まって20年で、ジェンダーギャップの実態がようやく可視化されました。しかし米軍の撤退に伴い、今月再びタリバン政権が誕生。暫定政権の閣僚に女性や少数派はゼロで、国連の制裁対象にもなっている旧政権の顔ぶれがずらり。政権は抵抗する女性たちのデモに発砲、死傷者が出ました。デモは事実上禁止に。イスラム教の教義を極端に厳格に解釈する旧タリバン政権では、女性が教育を受ける権利や自由に行動する権利が奪われ、男性の所有物のように扱われていました。暫定政権下でもすでにそれが復活する兆しが見られ、国際社会が強い懸念を示しています。
特殊なムスリム国家の遠い話だと思うかもしれません。でも日本も、女性閣僚は2人だけ。女性国会議員は参院で2割、衆院では1割しかいません。男女格差は先進国で最大です。列国議会同盟(IPU)の今年8月時点の女性議員比率ランキングでは、アフガニスタンは192カ国中75位で全議席の27.2%。世界平均25.6%を上回っています。日本は165位で14.4%です。女性を弾圧するタリバン政権への国際的な非難が強まる中で、自国の異常さにも改めて注目するべきでしょう。
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
※AERA 2021年9月27日号