2022年度の大学入試はどのような学部に人気が集まるのだろか。受験のプロは教育学部が注目されると予想する。AERA 2021年9月27日号が取材した。
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「幼児教育の教員が不足しています。来年度いくつかの大学で幼児教育系の学部が開講される予定です」(駿台教育研究所・進学情報事業部部長の石原賢一さん)
2019年10月からスタートした3~5歳児の保育園・幼稚園の無償化や、待機児童解消などで人材が不足していることが背景にある。また、教育熱心な家庭の「早期教育」の需要も後押ししているようだ。
実際、聖徳大学では22年度に児童学部を教育学部に改組予定。どのコースでも幼稚園1種、保育士の免許・資格を取ることができると謳う。佛教大学でも22年度に教育学部に幼児教育学科を開設する。
東海大学は50年以上の歴史を持つ短期大学部の児童教育学科を、児童教育学部として開設。設置準備室長の山本康治教授は言う。
「教育は社会と密接に関係しています。社会が複雑になるにしたがって教員に求められる水準も上がり、2年間の学びでは足りなくなっています」
同学部は保育士資格、幼稚園・小学校教諭免許の2免許1資格が同時取得できる。現在は就学前と小学校との教育が一線を画されており、シームレスに学びをつなぐ人材が必要だという。
「幼保と小学校の教員は、お互いの特徴を理解することが大切。帰属先が幼稚園から小学校に変わっても、子どもの学びはつながっている。両者の特性を理解することで、就学前の学びを、小学校の学習へとつなげていくことができるのです」(山本教授)
■不況に備えて人気上昇
教育の特徴は実践の場が多いことだ。「教育は理解だけではなく実践力が必要」(同)だからだ。キャンパス内にある子育て支援施設「あかちゃんひろば」をはじめ、地域と連携し13種の実習の場を設けている。すべてのセメスターで子どもとかかわる機会があり、教室では実践を理論と結びつけて学ぶ。教員は学生1人ひとりに寄り添い、密に面談を重ねるようにしているという。