「最近は、教員の仕事がネガティブに喧伝(けんでん)されすぎている。教員は人間を育てるやりがいのある仕事。喜びが多いからこそ、大変なんです」(同)
大学通信の常務取締役の安田賢治さんは幼児教育にかぎらず、「来年度は教育学部が注目されるのではないでしょうか」とみる。
「団塊世代の退職や少人数教育の導入で教員不足になり、需要が見込まれます。また不況に備えて、セーフティーネットとして教員免許を取得しておこうと考える学生も増えそうです」(安田さん)
MARCHの中で1学年に200人弱の学生を擁しており、他大学と比べると学生数が多いのが青山学院大学の教育人間科学部教育学科だ。
同大の教育人間科学部は、教育学科と心理学科で構成されている。教育学科の歴史は古く、大学が設置された翌年の1950年に文学部教育学科として開設した。
「学科として学生数が多く、教育に関して様々な興味関心を持ち多様な進路を考えている学生がいます。いろいろな学生と接した経験は、将来教員となって子どもたちと関わるときに生きてきます」(教育学科・杉本卓教授)
専任の教員が30人弱おり、視聴覚教育メディア論、西洋教育史、青年文化論、インターフェース論など多彩な科目が設定されている。1年次は教育学についての概要を学び、学年が上がるにつれて専門を絞り込んでいく。
教員免許は幼稚園から高等学校までの4種から選択できる。青山キャンパスには幼稚園から高等部まであり教育、研究上の連携もある。就職先は教員の他に、一般企業、公務員と幅広い。
「学びは学校教育だけでなく、学校に入る前も日常生活の中でも、企業に就職してもリタイアしても一生続く。教育学とは、人生をより良く生きるための学問なのです」(杉本教授)
(教育ライター・柿崎明子)
※AERA 2021年9月27日号より抜粋