五芒星は、子どもの頃、一筆書きのひとつとしてよく書いた図形だが、世界中で魔術の象徴として知られ、日本では特に安倍晴明につながる魔除けの印として使われてきたものだ。
●修学旅行生に人気の「晴明神社」
京都を訪れる修学旅行生に人気の場所でもある「晴明神社」は、この安倍晴明を神として祀る神社である。先ほどのアルコール容器の写真はこの神社で撮られたもので、晴明神社は安倍晴明の住居跡に、晴明が没した2年後に一条天皇の命により創建されたと伝わる。正確には、この地よりももっと南東に500メートルほど行った先の土御門町と呼ばれる付近らしいのだが。
●晴明の活躍は老人になってから
安倍晴明の活躍が始まるのは50歳を過ぎた頃で、以降、当時としては長寿である80を超える歳まで生きた。映画などでは若い晴明のイメージがあるが、怨霊退治などで知られていくのはすでに老人の域に達してのちのことである。
晴明の師でもあった賀茂忠行・保憲父子が陰陽家として高い評価を得ていて、晴明が出世の道を歩み出せたのは賀茂保憲が没した以降といえる。また、花山天皇との交流も深く、ともに熊野に似通った由縁を持ったことで陰陽師として朝廷での力をためていく。その後も、当時最大の権力者であった藤原道長や次代の一条天皇からの後ろ盾を得たのち、陰陽師としての高い評価を受けていくのである。
●晴明の超人伝説とは
晴明伝説は数多く残されていて、すべてを紹介するのは難しいため、ここではいくつかの超人的な話を取り上げてみよう。晴明の生まれについてははっきりしない。生まれた土地も大阪、奈良、香川などに生誕の地とされる寺社などが存在しているくらいなのだが、のちに発揮する超人的な能力のためか、歌舞伎や落語の題材として語られる「葛の葉」伝説が晴明の生誕話として史実のような扱いをされているのだ。