
●東京にある晴明伝説の神社
このせいでもないだろうが、東京には唯一と思われる安倍晴明由縁の場所がある。それが、霊石があったことで知られる葛飾区立石にある熊野神社である。この地を訪れた晴明が、蛇行する中川によってできた土地が正五角形(五芒星の点を結んだ形)となっていたことにパワーを感じ、熊野権現を勧請して創建したと伝わっている。五角形に囲まれた八咫烏(熊野の象徴)が熊野神社の社紋としてお守りなどに登場する。都内では晴明・八咫烏とどちらも貴重なモチーフのためか、人気を博している。
●晴明のお墓はいくつある?
生誕地とされる大阪の「安倍晴明神社」(「阿倍王子神社」境外社)や安倍一族の氏寺である奈良「安倍文殊院」などはよく知られた場所であるが、晴明の名声ゆえか、全国には多くの「晴明神社」が存在している。また、お墓も嵯峨野にあるものを含めて長野や岡山など各地に点在している。一説には、死後、晴明の力を利用されないために本当の墓所をわからなくしたとも言われる。
安倍一族が陰陽家として有名になったのは、晴明以後の話で、彼が住んだ場所の名から、以後は「土御門家」と呼ばれるようになった。この中から晴明を超える名声を得た陰陽師は、未だ誕生していない。旧暦9月26日はそんな安倍晴明の命日である。