対照的な三沢と小橋だけど、誰よりも真摯にプロレスに向き合って真面目に打ち込んでいたのは共通しているところだね。二人とも少しでも「お母さんに楽をさせてやりたい」という思いが根底にあったんじゃないかな。俺にはそんな気持ちが伝わってきたよ。俺の場合は親父が健在だったけど、自分の家族ができてから、そういう気持ちがわかるようになったね。

 ほかの団体で一目置いていたのは、佐々木健介。彼も小橋に負けないくらい真面目にプロレスに打ち込んでいたね。いや、ちょっと種類が違うか。小橋は真面目で、健介は不器用な感じかな。全日本に長州が来たとき、長州が自分の団体のWJを立ち上げたときも長州について行動を共にして、ブレることがなかったね。長州が行動を起こすと健介が必ずついてきた。ちょっと苦労を知ってるがんばり屋って感じだね。何といっても、鬼嫁と言われる北斗晶の旦那でいられるのが一番すごいよ(笑)。

 現役の若手で注目しているのは……。あんまり言うと若い奴は調子にのるからなぁ……。今、天龍プロジェクトに参戦しているレスラーでは、これまでと違う空気を入れてくれた佐藤光留だな。技術のあるレスラーで、若手にも分け隔てなく教えてくれて、いい影響を与えてくれている。彼が出場するようになってから、天龍プロジェクトの雰囲気が変わったよ。矢野啓太と独特の、古典落語を聞いているようなグラウンドの攻防は見入っちゃうね。普通だったら今風のウケるプロレスがやりたいと思うだろうけど、古典的なプロレスをプライドを持ってやっているのが嬉しいし、それを観たお客さんが喜んでくれるのがまた嬉しい。彼らがいなくなったら、ちょっと心配だな。若手は、彼らがいるうちにいろいろ教えてもらえばいいし、見習ってほしいよ。だって、みんなリングの上で痛い思いをして、マットの上を転がされて、試合が終わって何も残らなかったら自分が一番かわいそうだろう。もっと発奮しろ! 俺の口から名前が出るようにもっとがんばれよ、コノヤロー!

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好きな後輩とは?