出陣式で笑顔を見せる高市氏/9月17日、東京・永田町 (c)朝日新聞社
出陣式で笑顔を見せる高市氏/9月17日、東京・永田町 (c)朝日新聞社

 私は安倍さんが「アフリカ開発会議(TICAD)」を実現させた外交手腕は、評価しています。諸国の政策には口を出さず、科学技術や人材育成を移転し、日本への評価を大きく上げました。日本はこうした「教育」や「科学技術の人材育成」の蓄積を国の強みとしてもっと前面に出し、世界と渡り合うべきです。

 ところが、2004年の国立大学法人化以来の流れとして、その予算は削減され、日本の学問は疲弊する一方です。日本の大学の研究力は、今では世界で引用される論文の数で世界10位に後退しました。政策が間違っていたことは明らかなのに、いまだに政府は間違いを認めず、大学にその失敗を押し付けようとしています。

 新しい総裁には、もっと学問を信頼し、「学問の多様性」を確保する政策をとっていくことを強く求めたい。加えて、たとえば高度成長期の夢を引きずり続け、低成長時代に見合った経済政策ができていない点など、過去の政権の過ちはきちんと指摘して反省し、説明責任を果たしつつ正すこと。そして、「新しいことを始める」という強い気概を示すこと。前の政権をヨイショするような候補は、その時点でダメです。

(構成/編集部・小長光哲郎)

AERA 2021年9月4日号

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