新型コロナウイルスへの感染を懸念し、夏休み明けから「自主休校」する子どもたちが増えた。感染拡大が長期化するなかで、学習面だけでなく友人関係の変化などを心配する声も上がる。AERA 2021年10月4日号の記事から。
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8月下旬、東京都内に住む女性(39)の小学1年の長女がこうつぶやいた。
「学校に行きたくない」
理由を聞くと、「学校でコロナにかかって、ママのおなかの赤ちゃんにうつしたらどうしよう」と泣き出した。新型コロナウイルスに感染した千葉県内の妊婦が数日前、入院先が見つからずに自宅で出産し、新生児が亡くなった。そのニュースを見て怖くなったという。女性は学校に相談し、9月1日の始業式から「自主休校」を続けている。
長女の学校では、オンライン授業は実施されていない。女性は授業の進度を担任に確認し、長女の学習を進めている。自主休校中も連絡帳や宿題の提出はしなければいけない。女性は毎朝、クラスの友だちの自宅前で待ちかまえ、学校に届けてもらう。その子の母親と顔を合わせるたびに、「登校させないなんてかわいそう」「神経質な家庭」と思われているのではと考えてしまう。
■居場所がなくなる不安
長女は友だちや先生との関わりが持てず、学校に居場所がなくなってしまうのでは、と不安も抱いているようだ。出産予定日は10月上旬。出産後も赤ちゃんへの感染が怖いし、登校再開のタイミングが難しい。
「9月2週目までは長女のほかにも数人が自主休校をしていたみたいですが、今は長女1人。あと1~2カ月もこのままでいいのか悩んでいます」
7月下旬からの「第5波」ではデルタ株が主流となり、子どもにも感染が拡大した。8月下旬の10代以下の新規感染者数は1カ月前と比べて5倍以上。感染への不安から、夏休みが明けると自主休校を選ぶ家庭が増えた。
千葉県内に住む女性会社員(35)もその一人。ぜんそくがある夫(36)と自分のワクチン接種が済んだら、小学2年の息子の登校を再開させる予定だ。
「ママ友から『子どもは重症化リスクが小さいのに気にしすぎだ』と言われたけど、親が感染して働けなくなったり亡くなったりする事態は絶対に避けたい」
日本マネジメント総合研究所理事長の戸村智憲さん(46)も、小学2年の長男を夏休み明けの8月26日から休ませている。