チャレンジャーズ岸上克彦オーナー/アサヒグループホールディングス株式会社・日本統括本部・顧問(筆者撮影/山岡則夫)
チャレンジャーズ岸上克彦オーナー/アサヒグループホールディングス株式会社・日本統括本部・顧問(筆者撮影/山岡則夫)

 席上では尼崎市でのホーム試合開催に向けての要望も出された。ネックとなるのはスタジアム問題。兵庫県では神戸市にアメフトの聖地と言える王子スタジアムがある。しかし今年度いっぱいで改修工事に入り使えなくなるため、チャレンジャーズとしては尼崎市内のベイコム陸上競技場を使用したい意向がある。しかし陸上競技場として国際2種登録されており、芝部分の管理問題などを含めて現状で常時使用は厳しい状況だ。

「人工芝化することでアメフト、ラグビー、サッカーにも使用できるようになり使用率が高まる。陸上の投てきが刺さる新しいタイプの人工芝も開発されている。試合時の仮設スタンド設置も含め、改修予算を取って欲しい旨を話した。尼崎市が厳しい状況はわかっていますが、市長は『前向きに考えます』と笑顔で答えてくれた。実現するためにも、まずチームとしては結果を出すことを考えます」(チャレンジャーズ川口氏)

 チャレンジャーズは今季、Xリーグ2部に相当するX1Areaで戦っている。来年度からは1部相当のX1Superが現行の8チームから4チーム増の12チームとなることが決定している。昨年X1Area西日本優勝のチームにとって、まずは1部昇格が大きな目標となる。「可能性は十二分にあります」と川口氏も自信を持って語る。

 市役所への表敬訪問後、チャレンジャーズ一団は尼崎消防署へ向かった。尼崎市では緊急通報時の同時通訳システムを採用したが、その説明、紹介映像への出演依頼が届いた。米国カリフォルニア州出身でチームの顔とも言えるギャレットに白羽の矢が立った。撮影では持ち前のサービス精神を発揮して現場を明るい雰囲気にし演者としても役割を完璧にこなし地域貢献に一役買った。消防署内にギャレットのファンが増えたのは間違いないはず。

「尼崎に根付くまで5年10年、いや、もっとかかると思います。でも足元を見据えて、尼崎市やアサヒ飲料というチームに携わる人に欠かせないものになりたい。アメフトはルールが難しい部分がある。細かい反則もあり入口としては難しく感じる人も多いはずです。だからまずは単純に身体と身体のぶつかり合いの激しさを感じて欲しい。そしてプレーブックという細かい作戦があり1人1人の役割が決まっている部分は、ある意味で社会の縮図だと感じてもらえるはず。フットボールに触れれば共感できる部分が多いと思います」(岸上オーナー/アサヒグループホールディングス株式会社・日本統括本部・顧問)

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「アメフトはかっこいいスポーツ」