「新選組という、日本史上にそれ以前もそれ以後にも類のない異様な団体をつくり、活躍させ、いや活躍させすぎ、(略)ただそれだけのためにのみ自分の生命を使いきった」
いったい土方はなんのために生きたのか。
「歳三自身にもわかるまい。ただ懸命に精神を昂揚させ、夢中で生きた。そのおかしさが、この種の男のもつ宿命的なものだろう」
ところでしたり顔で、
「司馬遼太郎は女が書けない」
などという人がいる。
しかし『燃えよ剣』には、土方の恋人として「お雪」が登場、映画では柴咲コウが演じた。清楚なお雪に魅せられる司馬ファンは多い。『燃えよ剣』には幕末を生き抜く女性の強さ、美しさもちゃんと描かれている。(本誌・村井重俊)
※週刊朝日 2021年10月8日号