舞台で漫才をやる「覚悟」を語った2人(撮影/中西正男)
舞台で漫才をやる「覚悟」を語った2人(撮影/中西正男)

ぜい肉の部分が筋肉になるということもあるし、そうなっていかないといけないんですけど、劇場は日々いろいろな芸人をある意味食べ続けてますからね。その結果、骨や筋肉になるのか、代謝の中で排せつされるのか。この新陳代謝の中での勝負なんだろうなと。

大村:分母は広がる一方ですからね。5年もたてば、「M-1」「R-1」「キングオブコント」などすごい数のチャンピオンや人気者が生まれています。熾烈な戦いです。でも、漫才をやること自体のしんどさとかつらさというのは感じたことがないんですよね。

藤田:芸歴も24年になりましたけど、ずっと漫才と向き合っての24年。毎年、毎年、漫才と向き合う楽しさの質というのかな、カタチが変わってくるんですよ。一昨年くらいに作ったネタが進化を遂げてくれたりもするんです。「ここがこう変わるか」みたいなことがあるのが面白いなと。

大村:それはね、何より「劇場でできているから」なんですけどね。日々、お客さんの前で生の舞台をやらせてもらっているからこそのアドリブもありますし、そのアドリブが本筋になったりもしますしね。だからこその進化と変化。机上だと無理ですからね。

藤田:いつまでもそうできていたらいいですし、オレの意識では、漫才が終わる時はどちらかが死ぬ時ですよね。

大村:あとは、どちらかが立てない、歩けない、そうなった時か。それがない限りは辞めないと思います。

一番つらいのはまだ二人ともピンピンしてるのに「ま、ちょっと休んでおこうか」とリストラされるのが一番つらいですよね。なので、辞める時は死ぬ時というのは一つの理想形だとは思います。

藤田:ただ、最期にスベって終わったら、そこからリカバリーができないですからね(笑)。そんな悔いの残し方をしないように、これからもなんとか頑張っていきたいと思います。

■トータルテンボス
1975年4月3日生まれの大村朋宏と75年12月30日生まれの藤田憲右が98年にコンビ結成。静岡の小中学校の同級生で、ともにNSC東京校3期生。2004年、06年、07年と「M-1グランプリ」で決勝に進出し、07年は準優勝。自らの草野球チームも持つ野球好き芸人としても知られる。トータルテンボス単独公演2021「背広の合うふたり」を大阪・なんばグランド花月(11月17日)、東京・ルミネtheよしもと(11月19日)で開催する。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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