貧富差が拡大する中国は、みんなが豊かになる「共同富裕」という政策を展開する。第一生命経済研究所の首席エコノミスト、野英生さんは「中国政府には共同富裕の問題があり、恒大に断固たる介入をすぐにしなかった」と話す。楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストの香川睦さんは「当局がどう対応するかだが、部門を切り離して国有化とか、ドル建て債での部分的デフォルトの容認もあるかもしれない」とみている。

 経営不振の不動産会社は恒大だけでない。「水面下に2番手、3番手があり、最初のところを簡単に救済できない。年内は緊張感が続くだろう」(熊野さん)。恒大の創業者は大富豪で、「安易な救済はモラルハザードの問題がある」(香川さん)。

 恒大問題のソフトランディングは容易でない。「問題は新興国市場」という熊野さんは、中国が支援してきた新興国から資金が逃げ、資金調達が難しくなると懸念する。

 中国は国内総生産(GDP)の約4割が個人消費。バブル崩壊で個人消費が10%落ち込むと、GDPは4%低下する。また低成長の日本に対し、高成長の新興国が世界経済に貢献してきた。中国の減速や新興国の低迷は対岸の火事でない。岸田新政権は多難な船出となるかもしれない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年10月15日号

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