「(卵巣は)いぜんとして健在です。まっ暗やみの腹腔のなかに居ながら月齢だけはちゃんと知っている。べつに潜望鏡を出して天体観測をやっているわけじゃないでしょう(中略)。こうなれば、もう卵巣そのものが一個の“天体”というよりない。小宇宙が内蔵される、とはこのことをいったのでしょう」(同書)
30億年の昔、原始の海面に小さな生命のタマができた時、そのなかには地球を構成するすべての元素が入っていたというのです。
「それはちょうど、地球というモチをちぎったようなものですから、ひとつの星──“生きた地球の衛星”ということになりますね(中略)。そういうものが一緒に集まってできた多細胞は、まさにあの『大宇宙』に対する『小宇宙』ということになるわけです」(同書)
人体は宇宙のメカニズムを宿した「小宇宙」である、だからこそ、人体は宇宙のリズムに共振するというのです。
この説明にはロマンを感じます。自分という体のなかに宇宙があると考えるとワクワクしませんか。そう思いながら、満月を眺めると、より一層月のパワーが自分の体の中に入ってきます。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2021年10月15日号
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