「以前は7対3ぐらいで女性の電話が多かったのですが、一昨年ぐらいから男性の相談が増えてきました。コロナをきっかけに失業や仕事が上手くいかないなど経済的な相談も多いです。また自殺せずとも『死にたい』という気持ちを抱えている人はこの何倍もいると思います」
警視庁と厚生労働省のデータによると、2020年の全国の自殺者数は2万1081人(前年比4・5%増)。うち男性の自殺者は1万4055人。2021年の8月末までは1万4207人でうち男性は9510人で、いずれも女性の約2倍だ。
◆高校生や大学生は将来の遠望を描けず…
長引くコロナ禍で時間の経過とともに、変化したこともある。実は昨年春の感染拡大直後はコロナについての相談は少なかった。それが、コロナが生活に入り込むともにコロナと直接関係のある悩みの相談が増えてきたという。
たとえば、職場や家庭で自分が感染を広めてしまい、「自分は死ななければならないんじゃないか」と思い詰めた人からの相談だ。また実際に会社を辞めざるを得なくなった人からの相談も増加している。
一方、コロナに感染し、本当に治ったのかどうか疑心暗鬼になり、「ほかの人に感染させたらどうしよう」と考えすぎて会社に行けなくなったという人や必要以上に感染を恐れ、生活行動の幅が極端に狭くなり、息苦しく、「何のために生きていいるのかわからない」と訴える人も徐々に出てきている。
年齢も以前は30代以上が多かったが、昨年の夏頃から高校生や大学生など若い人からの相談が増えたという。
「学校に行けない、家族全員が常にイライラしている状態で息抜きができず、家庭に居場所がないとう人も増えたような気がします」
大学生は就活の悩み相談が目立ってきた。さらに内容も以前とは変化。