西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、オリックスの強さを支える山本由伸投手を絶賛する。
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先週はヤクルトと高津臣吾監督のマネジメントについて話をさせてもらったけど、ここにきて、セ・リーグはヤクルトと阪神に優勝争いは絞られたかな。巨人は、1球団だけならともかく、2球団が上にいて、さすがに残り20試合を切って5ゲーム以上離れたら、厳しい。
パ・リーグも同じことが言える。楽天も上位にいるオリックス、ロッテと差がつき始めている。せめて直接対決3連戦で逆転できる3ゲーム差以内にいないと。今年は九回打ち切り。引き分けでも駄目となると最後に不利となる。
パの2球団、オリックスとロッテはどちらが「決め手」をもっているかとなると、オリックスだろう。絶対的な存在である山本由伸がいるからである。彼の投球を見ていると、3点以上とられる気配がまったく感じられない。155キロを超える直球にカットボール、スライダー、フォーク、カーブ、ツーシームと球種も豊富だが、どの球でも三振を取れる。すべての球種が高いレベルにある。かつてメジャーに行く直前の日本ハム時代のダルビッシュ有に近い無双ぶりを発揮している。
しかもコントロールがいいから、待球作戦は通じない。ファウルで球数を稼ごうとしても、球威、キレがあるから、それもままならない。長いイニングを投げられるから、救援陣の連投も回避できる。終盤に来て、彼の存在は2倍にも、3倍にも大きく感じられる。
セ・リーグでも、ヤクルトは高卒2年目の奥川恭伸が出てきた。阪神も高橋遥人がすごい球を投げている。優勝するには、「こいつが投げたら負けない」という柱となりえる投手が出てくるものだなと感じる。その意味で、ロッテは現時点で見当たらない。強いて挙げれば、小島和哉かな。
全員野球で勝ってきたロッテ。その中で期待するといえば、佐々木朗希だ。9月10日の楽天戦で憧れの田中将大と投げ合って、8回2失点。そのときの投球は、エースとなり得るポテンシャルを示した。登板間隔や、球数制限など、球団の育成方針はあるのだろうが、リミットを外したときの彼を見てみたい。残り試合では、その力がロッテには必要だろうと考える。