「3Aという重鎮が政権から党に移行して権力闘争をやっている。選挙を目前に控えて、甘利氏と麻生氏のラインが目立ち、どうしても優勢に見える。そこに安倍氏が割って入ろうと高市氏のラインから、官邸に物申すという状況だ。選挙だから、余計に党高政低に見えてしまうね」(閣僚経験者)
「党高政低」を象徴するのが、衆院選での「公約」だ。岸田首相は総裁選の時から経済政策の目玉として「中間層の拡大に向けて分配機能を強化して所得を引き上げる、令和版の所得倍増を目指す」として「令和版所得倍増計画」を訴えてきた。また、所信表明演説では「教育費や住居費への支援を強化し、子育て世代を支えていきます」と訴えた。
だが、「令和版所得倍増計画」は公約に含まれず、消えてしまったのだ。高市氏はその点について公約発表の記者会見でこう釈明した。
「自民党としての公約です。部会、調査会で積み上げて合意得たもの。総裁選でさまざまなことを訴え、(候補者の)4人ともがそうだねというものを盛り込みました。主に岸田総裁の政策ですが、これなら党として実現できるものが公約となった。抜けているものも多少あるかと思う」
また、高市氏が岸田総理に公約の素案を示した時には、選択的夫婦別姓についても了承されたと言っていた。
総裁選の時には岸田総理は「導入を目指して論議すべきだ」と前向きととれる発言をしている。しかし、公約では途中までは素案と同じだが、夫婦の氏についての「具体的な氏の在り方についてさらなる検討を進める」という一文が最後はなくなっていた。
「マイナンバー住民基本台帳など、婚姻前の氏の使用できるシーンは多くなっている。急速に進んでいるが、さらにまだ使えないものも残っている。氏制度の検討チームなどで議論している。選択制夫婦別姓制度が公約で後退したのではない。岸田総裁も見ている」(高市政調会長)