秋田2区の金田勝年元法相は、立憲民主党の緑川貴士氏と一騎打ちの構図になっている。17年衆院選の自民党と野党の得票数を見ると、金田氏は約7万4千票、緑川氏は約8万6千票となっている。
金田陣営の関係者は「法務大臣時代のつたない答弁で悪いイメージがついたまま、払拭できていない」と暗い表情だ。17年に法相を務めていた際、いわゆる「共謀罪」をめぐる国会の論戦で、金田氏は「私はちょっと、私の頭脳というんでしょうか、ちょっと対応できなくて申しわけありません」などと答弁し、批判が殺到した過去がある。先の関係者はこう語る。
「秋田県民からすると、岸田さんが首相になったインパクトはない。菅さんが秋田出身でしたからね。緑川氏は田舎の遠いところまで入って行って“どぶ板”選挙をしていると聞いており、脅威です。特に田舎は握手などで投票先が決まったりしますからね。金田は元官僚でエリートだったせいか、そこまではやれないんですよ。ただ、金田はこれまでも厳しい選挙で勝ってきた。地元に雇用をつくってきた実績などをしっかりとアピールして、誰が地元にために働いてきたか訴えていきたい」
同じく過去の失言が尾を引いているのは、千葉8区の桜田義孝元東京五輪・パラリンピック担当相だ。競泳の池江璃花子選手が白血病を公表した際に「本当にがっかりしている」と発言したり、少子化問題に関して「子どもを3人くらい産むようお願いしてもらいたい」などと述べ、たびたび物議をかもした。地元の自民党関係者はこう見る。
「今回は当選できないのではないか。失言がテレビでも連日話題になっていて、そのイメージが払えていない。致命的ですよ。(地元の)柏として恥ずかしくない人を選ばないといけないという意識が高まっているように感じます。(菅政権に比べて)政権の支持率は上がっていますが、ここでは政治家個人の資質が問題になっている」
17年の選挙結果をみると、野党共闘が成立している京都1区の勝目康氏、奈良1区の小林茂樹氏は野党の合計票が上回っており、二階派の両議員は苦戦を強いられそうだ。大濱崎さんはこう見る。
「二階さんの士気が下がっており、厳しい戦いになる選挙区も出てきている。今回の選挙結果で、党内の勢力図もさらに変わってくると思います」
岸田政権で冷遇される続ける二階派議員たちの末路やいかに。(AERA dot.編集部・吉崎洋夫、今西憲之)