河村氏の他にも、公認争いをしていた二階派の議員は苦戦を強いられている。新潟2区では細田派の細田健一氏と二階派の鷲尾恵一郎氏が争っていたが、鷲尾氏が比例に回った。静岡5区では無所属の細野豪志氏が岸田派の吉川赳氏と争っていたが、公認は吉川氏に決まった。ある自民党関係者はこう見る。
「明らかにパワーバランスが崩れた。二階(俊博)さんが幹事長だったら、同じようなことにはならなかったはず。公認争いをしているその他の選挙区でも影響があるのではないか」
いまだに公認が決まっていないのは、北海道7区と群馬1区。北海道は二階派の伊東良孝氏と旧竹下派の鈴木貴子氏、群馬1区では二階派の中曽根康隆氏と細田派の尾身朝子氏が争っている(表)。北海道7区については、鈴木氏が比例に回る形で調整が進んでいるという報道が出ている。
政治アナリストの大濱崎卓真さんは北海道7区についてこう見る。
「鈴木氏は前回の衆院選では比例で当選、前々回は民主党から出馬し、伊東氏と戦って敗れている。鈴木氏が外務副大臣に起用されたことを見ると、党本部としては育てていきたいと思っているのでしょう。父の宗男氏がロシアや維新の会とのパイプを持っており、大切にしたい。しかし、伊東氏からすれば選挙区を譲ることはできず、なかなか調整がつかない状況でした」
群馬1区についてはどうか。
「前回は中曽根氏が比例で、小選挙区は尾身氏が出て勝っている。尾身氏には不祥事などはなく、降ろす理由はありません。中曽根氏は、大宰相・中曽根康弘元首相の孫ということで、小選挙区への強いこだわりがうかがえますが、二階氏の力も弱まっており、今回も中曽根氏が比例に回ると思います。福田康夫元首相の息子で総務会長に抜擢された群馬4区の福田達夫議員(細田派)とはだいぶ差がついた印象です」(同)
また、公認が得られた二階派議員でも、野党共闘が進む中で、厳しい戦いを強いられそうな選挙区は多い。17年の衆院選の結果から分析すると、要職を経験したベテラン議員ですら、軒並み落選危機にある(表)。