なぜデン爺さんの動画は多くの人に愛されるのか。本人に尋ねると、「同情票ですよ」と一笑した。「『何じゃこりゃ』って内容でも、80代が出てきたら『年とってんのによくやるなあ』って笑って見守ってもらえる。動画をあげると、『デン爺生存確認!』なんてコメントもつきますよ。いつもつまらないものを見てもらって申し訳ないな」
動画ではユーモアあふれる元気な姿を見せるが、年齢による衰えは感じるという。「何を言おうか忘れたり、話が脇道にそれて本題に戻れなくなったり。だから動画編集が大変でね」。編集を手伝ってくれる30代の孫は、祖父に影響され、自身もユーチューバーになった。
デン爺さんは、今後も元気なうちは動画を作り続けるつもりだ。脳が活性化し、お小遣いが稼げて、時間つぶしにもなるのが魅力だという。「75歳まで働いてきたから、ろくな趣味がなくてね。花を植えるでも何でもいい。年をとっても『何かしている』ことは大事かなと思うんですよ」
(本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2021年10月22日号より抜粋

