
――自粛期間中、俳優の仕事を楽しむことと同様に大切だと感じたのは、自分の意見をきちんと相手に伝えることだ。
当たり前ですけど、待っているだけでは何も変わらない。僕、人は好きですが、めっちゃナイーブだし、すぐ傷つくんです。でも、ちゃんと自分の意見を言葉に出して伝えていかないと、自分が死んでいくと思いました。だから、仕事でもプライベートでも、この人とはわかり合いたいと思えば、本音でしゃべるように頑張っているところです。
嫌なことを嫌だと伝えるのは体力がいります。特に、仕事相手にそれを伝えるのはすごく怖いです。でも、物事をいい方向に動かすには、一度、現状を変化させないとダメだと思うんです。
■時間はなくなった
相手を信用しないとできないし、難しいですが、ちゃんと自分にも相手にも向き合ってエネルギーを使うように変えたら、一日一日がすごく充実しました。
でも、時間もなくなった。「趣味は?」とかよく聞かれるんですけど、本当に、そんな時間はないです。でも今はそれでいいのかなとも思っています。
――少し早口で、飾らない等身大の自分を見せてくれる。その姿勢は公式Twitterからも伝わる。昨年、25歳を迎え、周囲の人やファンに向けて感謝を手書きで綴り、アップした。その画像を今もトップに固定している。
手書きのほうが思いが伝わると思ったのと、感謝と一緒に、アラサーになって掲げた「自分に嘘をつかない」「人やモノの本質を見る」「自分を大切にする」「相手に敬意を払う」というモットーを公言しておこうと。「こういうことって大切ですよね?」とみんなに投げかけたかったのもあります。SNSでの誹謗中傷が問題になっているときで、Twitterが暗く感じたんですね。そこにちょっとでも温かいものを垂らせたらいいな、という思いもありました。
――いま、達成感や幸せを感じる瞬間は?
作品が終わった時かな。やり残したことがあっても、それが次へのエネルギーになったりもします。あとは人とわかり合えたとき。こうして取材で話しているときも楽しいんです。
将来は、「ONE PIECE」の“白ひげ”みたいになりたい。どんな状況でも笑っていられる、愛情深い器の大きい男に憧れます。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2021年10月18日号