天羽健介さん
天羽健介さん

 こうしたNFTをめぐる状況について、世界有数のテクノロジー・リサーチ会社Gartnerのレポート「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2021」(21年8月公開)は、何らかの技術が普及していく過程を5つのフェーズ((1)黎明期(2)過度な期待のピーク期(3)幻滅期(4)啓蒙活動期(5)生産性の安定期)で表すハイプサイクルにおいて、NFTはAIなどと並んで第2フェーズ「過度な期待のピーク期」の頂点に達しており、今後2~5年、ビジネスや社会に強い影響を及すと分析しています。

 ただ、じつは20年版の同レポートにはNFTは載っていません。わずかここ1年の間にデジタルビジネスのど真ん中に躍り出たのです。そんな急成長の反動なのか、高額なコレクション取引ばかりが注目されるせいなのか、NFTを一過性のブームと冷ややかに見ているビジネスパーソンも少なくないようです。

 NFTは今後どうなっていくのか。あえて結論から言わせてください。暗号資産はなくなってもNFTはなくなりません。なぜなら、NFTは「世界」を変える可能性の塊だから、です。

 海外のユニコーン企業も含め、現時点で考えられるNFTビジネスのオールスターキャスト28人が集い、基礎知識から各種のユースケース、法令上の課題、未来像まで書き下ろした『NFTの教科書』を一読していただければ、そのリアルを明確にイメージできるようになると思います。

■NFTとメタバースが生み出す「革命」とは

 もはやインターネットなしではどんなビジネスも成り立たなくなっているように、NFTはIT業界にとどまらず、あらゆる業界に影響を及ぼすテクノロジーと言えます。

 NFTは暗号資産と同様、極めてオープンで民主的なブロックチェーンネットワークによって発行され管理されます。大きな違いは、その名の通り「世界にひとつだけのデジタル資産」であること。暗号資産には取引承認の履歴しか記載されませんが、NFTには発行者や所有者、権利関係なども改ざん及びコピーできないかたちで記載されます。この独特のプログラムがデジタルデータを唯一無二のモノに変えるのです。

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NFTの真価とは?