週刊朝日 2022年11月25日号より
週刊朝日 2022年11月25日号より

 これには、さまざまな見方があるようだ。この3月まで金融庁で金融教育を担当していた金融教育家の塚本俊太郎さんが、「50代以上は経験がありますから。家を買えば住宅ローンに詳しくなるし、50代になると老後の生活費が気になって調べたりします。豊富な経験の表れだと思います」

 と言えば、金広委出身で金融教育ディレクターを名乗る橋本長明さんは、

「同じ調査で『金融知識に自信がある人』が日本では12%しかいなかったのに、アメリカでは71%もいます。本当は知識はそこそこあるのに自信が持てない謙虚な日本の国民性も表れているのではないですか」

「自信」といえば、フィンウェル研究所の野尻哲史代表は金融リテラシー調査がらみで次のような傾向を発見したという。

「自信過剰な人ほど金融詐欺の被害にあいやすいという結果が出たんです」

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 こういうことだ。4年前、野尻さんは勤務していた運用会社で高齢者を対象に大規模な金融リテラシー調査を行った。その中で、金広委の調査で使われた「金融リテラシークイズ」を回答者にも答えてもらい、その点数と金融知識の本人評価を比べたという。

「すると、金融リテラシークイズの点数が平均以下なのに自分は金融知識が高いと回答した人、つまり自信過剰と思われる人の中に、金融詐欺被害にあったことがある人が多くいたのです。自信過剰な人のグループでは、平均の倍近くの比率になりました」(野尻代表)

 自分が「金融リテラシーが高い」と思っている人は注意したほうがよさそうだ。「○○さんは昔からよく勉強なさっているから、もうおわかりですよね」とでもおだてられようものなら、簡単に騙されかねない。

 話を50代に戻すと、金融リテラシー調査の結果が若い世代よりいいから安心かというとそんなことはない。先の金融教育家の塚本さんが言う。

「抜けているのが資産形成の分野です。保有資産のほとんどが預貯金の人は、いくら経験が豊富でも、投資については習ったことも聞いたこともない人がほとんどだと思います」

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