なるほど、これは大きい。個人金融資産2千兆円のうち半分を超す55%が現預金で、その多くを60歳以上の高齢者が占めているとされる。それに50歳代が加わればさらに膨大になり、対象者は何千万人単位になるだろう。冒頭のFPの加藤さんも、知識のないこの年代の人が深く考えずに投資に乗り出すことを警戒していた。

 ならば、投資未経験者はどうやって資産形成の金融リテラシーを学んでいけばいいのか。塚本さんが続ける。

「まずは公平中立なところから提供されている情報を学べばいい。私のお薦めは私も金融庁時代に関わった『高校向け 金融経済教育指導教材』(*3)です。金融リテラシーの全分野が学べますが、とりわけ資産形成分野を含む『貯める・増やす』の章は、本編だけでなく応用編があります。これは生徒ではなく親と先生向けに作られていますので、このあたりから始めるのがいいと思います」

「応用編」を見ると、資産形成の必要性から金利や複利の話、主な金融商品の特徴などが続き、後半は「長期・分散・積み立て」投資がなぜ効果的なのかまで説明されている。

「パワーポイントの『ノート』に解説が書かれていますから、それと一緒に読めばすんなり理解できるでしょう」(塚本さん)

 金広委が事務局の金融経済教育推進会議が昨年始めた「マネビタ」(*4)を薦める声も何人もから聞いた。金融リテラシーに関するeラーニング講座で、金融教育に関わる官庁や団体が連携して作った動画教材だ。一つの動画は10~15分程度。5週間程度で金融リテラシーの基本的な事項が学べるようにできている。

 一通りのことが理解できたら、どうするか。

「次は自分から情報を取りに行くことでしょうね。投資に関する本を読んだり、YouTubeを見たりして、長期でやらないといけないことや一括投資ではなく少額から始めることの意味を理解することが大事です」(同)

 その上で実践になるが、最初は「長期・分散・積み立て」を体験できる「つみたてNISA」あたりから始めるのがいいだろう。

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