■支障のない日常生活を目指す
機能性ディスペプシアでは、服薬の効果が十分に出なかったり、いったん症状が落ち着いてもしばらく経つとまた再発したりすることがある。その場合、薬の種類を変えることも含め、食生活や生活習慣に関しても主治医とよく相談してみることが大切だ。そのためにも受診時には、専門の診療科を選ぶことが重要になる。また、機能性ディスペプシアによる症状と「うまく付き合う」という気持ちを持つと、心に少し余裕が生まれる。
「患者さんには、症状をゼロにしなければ、と考えるのはやめましょう、と話をします。普通に食事や睡眠がとれて、仲間との会話を楽しむなど、日常生活に差し障りがない程度に抑えることを目指すとよいと思います。人間はたいてい、どこかに痛みやかゆみがあり、それを気にするかしないかで日常生活のQOLは大きく変わります。患者さんが不安なく治療に取り組めて、こんなものでいいかな、と思えることが大事です」(春日井医師)
(梶 葉子)
※週刊朝日 2021年10月29日号