名護市の名桜大学で開かれた若者ウチナーンチュ大会最終日、対面式のスポーツイベントで語り合う参加者たち(撮影/三山喬)
名護市の名桜大学で開かれた若者ウチナーンチュ大会最終日、対面式のスポーツイベントで語り合う参加者たち(撮影/三山喬)

 米国カリフォルニア州に住む沖縄県系4世、大学生ザック・エドワーズさん(21)の来県は、まさにそのイレギュラーなケースだ。

 白人の父と日系の母を持ち、母方の祖父がハワイ出身の県系人。しかしこの祖父はザックさんが生まれる前に他界、彼が家庭内で触れたのは米国で同居した日本人の祖母が持つ“ヤマトの文化”だけだった。

「だから僕は2年前まで沖縄についてほぼ何も知りませんでした。日本語の学習は高校からですが、沖縄文化との出合いは大学入学後。日本人教授の社会学の研究をサポートするアルバイトで沖縄の基地問題を知り、もうひとつのルーツを学びたくなったのです」

 当初、興味の中心は言語学的なものだったが、沖縄県民とSNSで交流するうちに「厳しい時代を生きた先祖に感謝して家族史を知る必要がある」と考えるようになったという。

コロナ対策で教室の四隅に散り、オンライン会議の〇×ジェスチャーをする若者大会参加者(名桜大学で)(撮影/三山喬)
コロナ対策で教室の四隅に散り、オンライン会議の〇×ジェスチャーをする若者大会参加者(名桜大学で)(撮影/三山喬)

■息子に誘われ沖縄意識

 今回の初来県で沖縄の親戚との対面も実現した。興味深いのは、ザックさんに同行した母・リンダさんの変化だ。

「私は沖縄2世の父、日本人の母のもと、横浜でアメリカ人として育ったの。沖縄のルーツは意識しなかった。でも息子に誘われて来てみたらこんなにすごい大会でしょ。感激して沖縄を急に知りたくなりましたよ」

 若者世代だけで連帯する国際ネットワークもある。第5回大会の「若者国際会議」を母体とする「世界若者ウチナーンチュ連合会(WYUA)」である。

 彼らは本大会とは別に数十~百数十人規模の「世界若者ウチナーンチュ大会」をブラジル、米国など毎年開催国を変え、開いてきた(途中から隔年に変更)。今回はコロナ禍でオンライン企画のみだったが、本大会のプレイベントとして家族史やルーツの市町村別の“地域自慢”を話題に3日連続で約50人規模のリモート会議をした。

 JICA(国際協力機構)の研修生として沖縄に滞在するブラジル出身のブルーノ・テルヤさん(34)=沖縄県系3世=は、ボランティアスタッフとしてこの会議に加わった。彼自身の“アイデンティティーの目覚め”を尋ねると、きっかけは、沖縄の伝統芸能、エイサー団体の「琉球國祭り太鼓」にブラジルで入会したことだという。エイサーの現代風のアレンジで世界的に人気の流派であり、前出の島袋・前ブラジル県人会長によれば「『沖縄にはエイサーがありうらやましい』と本土系の若者に言われている」とのこと。

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