これまで大阪府が中心だった維新の勢力。今回は兵庫県や京都府の小選挙区でも自民党や立憲民主の候補者と「互角」という情勢調査の数字もある。そこで、注目されるのが比例の議席数だ。
17年の衆院選では近畿ブロックは自民党が9議席、維新は5議席だった。
今回は自民、立憲民主などの情勢調査から自民党の前回並みより、維新はさらに上積みすると予想される。
自民党は大阪の小選挙区で維新に敗れる候補者が増えるとなれば、比例で争いが激化する。仮に自民党が比例で前回の9議席を確保できたとしても、比例順位の1位は前職の奥野信亮氏、2位は元大阪市議の新人、柳本顕氏がすでに決まっている。次の3位は近畿ブロックの小選挙区の候補者が横一線に並び、残る椅子は7議席のみだ。
奥野氏は小選挙区から比例区に党の方針で転出していたので既定路線とみられる。「番外」だったのは柳本氏だ。衆院選の直前、公明党が議席を確保している大阪3区から無所属で出馬を宣言したが、最終的には撤回して比例にまわった。自民党幹部がこう打ち明ける。
「大阪や近畿の小選挙区の候補者からすごいクレームが来ているのが近畿比例ブロックだ。柳本氏は突然、無所属で出馬と言い出し、公明党からすさまじいクレームがきた。抑えるために本部が柳本氏を比例2位にした。『ごねたら、上位になるのか』と妬む大阪の候補者もいます」
柳本氏は出発式で比例にまわった複雑な胸中をこう語った。
「自民党公認でなければ批判を受けたかもしれない。自民党という枠組みを突き抜けて、一市民として立候補する覚悟もあった。ご期待に応えられなかったかもしれないが…」
複数の自民党の候補者から「なんで自分より柳本氏の方が比例で上やねん」という声も聞かれる。自民党の小選挙区候補者はこう天を仰ぐ。
「維新がこれだけ強いと、大阪では小選挙区は3、4議席ほどでしょう。比例の近畿ブロックでは最後は身内が敵になる。惜敗率を争うような叩き合いになりますよ」
(AERAdot.編集部 今西憲之)