和田アキ子マネージャーが投稿する公式TikTokで、さまぁ~ずと「YONA YONA DANCE」を披露(https://www.tiktok.com/@wada_akiko.akoより)
和田アキ子マネージャーが投稿する公式TikTokで、さまぁ~ずと「YONA YONA DANCE」を披露(https://www.tiktok.com/@wada_akiko.akoより)

 そんな彼女は『金曜10時!うわさのチャンネル!!』に出演した際、ゴッドファーザーをもじった「ゴッドねえちゃん」に扮して、ハリセン片手に子分役のタレントを追いかけ回し、あえて高圧的に振る舞った。

『うわさのチャンネル』は視聴率30%を超える大人気番組となり、これをきっかけに「和田アキ子=乱暴者」というイメージがすっかり定着してしまった。さらに、和田と親しい芸人たちが、彼女の恐ろしさについてあることないことしゃべりまくったために、噂に尾ひれがついて広まっていき、和田はますます恐れられるようになった。

 普段の和田は、自分自身がつらい経験をしてきたことがあるからこそ、後輩やスタッフにはとても優しい。また、好奇心が旺盛で、何でも一度はやってみる、というのをモットーにしている。「ガングロ」がブームになったときには、わざわざ渋谷に出向いて生でヤマンバギャルを見たこともあった。

 最近では『ポケモンGO』をやってみてハマったり、Twitterにも手を出したりしている。自分の知らないことも頭ごなしに否定したりはしない懐の深さがある。

 ものまね芸人のMr.シャチホコが和田の真似をするときのお決まりのフレーズに「君は何をされてる方なの?」というのがある。この言葉こそが、彼女が人並み外れて好奇心旺盛であることを示している。50年以上のキャリアがあっても、彼女は偏見なく新しいものを取り入れて、若者文化に目を向ける。

 フレデリックとコラボした「YONA YONA DANCE」がヒットしたのも、和田がそれだけ柔軟で器の大きい人間だったからだ。「YONA YONA DANCE」の歌詞で何度も繰り返される「踊らにゃ損」というフレーズも、和田の生き方を象徴している。心躍る毎日を過ごすレジェンドシンガーの目線は、いつも未来を向いている。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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