そんな彼女は『金曜10時!うわさのチャンネル!!』に出演した際、ゴッドファーザーをもじった「ゴッドねえちゃん」に扮して、ハリセン片手に子分役のタレントを追いかけ回し、あえて高圧的に振る舞った。
『うわさのチャンネル』は視聴率30%を超える大人気番組となり、これをきっかけに「和田アキ子=乱暴者」というイメージがすっかり定着してしまった。さらに、和田と親しい芸人たちが、彼女の恐ろしさについてあることないことしゃべりまくったために、噂に尾ひれがついて広まっていき、和田はますます恐れられるようになった。
普段の和田は、自分自身がつらい経験をしてきたことがあるからこそ、後輩やスタッフにはとても優しい。また、好奇心が旺盛で、何でも一度はやってみる、というのをモットーにしている。「ガングロ」がブームになったときには、わざわざ渋谷に出向いて生でヤマンバギャルを見たこともあった。
最近では『ポケモンGO』をやってみてハマったり、Twitterにも手を出したりしている。自分の知らないことも頭ごなしに否定したりはしない懐の深さがある。
ものまね芸人のMr.シャチホコが和田の真似をするときのお決まりのフレーズに「君は何をされてる方なの?」というのがある。この言葉こそが、彼女が人並み外れて好奇心旺盛であることを示している。50年以上のキャリアがあっても、彼女は偏見なく新しいものを取り入れて、若者文化に目を向ける。
フレデリックとコラボした「YONA YONA DANCE」がヒットしたのも、和田がそれだけ柔軟で器の大きい人間だったからだ。「YONA YONA DANCE」の歌詞で何度も繰り返される「踊らにゃ損」というフレーズも、和田の生き方を象徴している。心躍る毎日を過ごすレジェンドシンガーの目線は、いつも未来を向いている。(お笑い評論家・ラリー遠田)