1992年8月、軽井沢で生後9カ月の眞子さまを抱く紀子さま (c)朝日新聞社
1992年8月、軽井沢で生後9カ月の眞子さまを抱く紀子さま (c)朝日新聞社
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 これまで多くの公務に真面目に律義に取り組んできた眞子さま。その歩みを振り返ると、眞子さまの人柄や紀子さまの思いが見えてきた。AERA 2021年11月1日号から。

【写真】外交団接待で紀子さまとカモを放つ眞子さま

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 眞子さまの一番有名な映像は1993年8月の軽井沢、「犬との遭遇」だと思う。もうすぐ2歳になる眞子さまは、紀子さまに抱かれていた。そこにやってきた散歩中のゴールデンレトリバーが、手を伸ばす眞子さまにジャンプした。「こわいー」としがみつく眞子さまに、紀子さまは「お友達になりたいのね」と言った。可愛い眞子さまと若く賢い母の紀子さま。この映像は、何度も放送された。

「あれが紀子さまの教育の本質です」。そう語るのは志賀律子さん。学生時代、「東南アジア青年の船」で紀子さまと一緒になって以来の友人だ。物事は捉え方ひとつで違う面が見えてくると考える紀子さまだから、ごく自然に「怖い」を「お友達」に切り替えた。「天然」で、誰にも優しく接する紀子さまなのに、眞子さまとボツ交渉だとか、職員にきつく当たるなどと書かれている。そういう報道は匿名の「関係者」が語っていてモヤモヤする。娘を遠くに送りだす紀子さまの心が、少しでも軽くなってほしい、と志賀さん。

 紀子さまは18年、秋篠宮さまの誕生日に当たっての会見に同席、眞子さまのことを「母親として」と断り、語った。結婚が延期され、体調が悪くなる中、それでもブラジル国内14カ所を訪問した眞子さまのことを「本当によく頑張っているな」と褒めた。

「待っていてくれる人がいると、紀子さまはいつも言っています。そして、そういう姿を背中で子どもたちに見せてきました」と志賀さんは言う。

■勤め帰りの「普通」の姿

 秋篠宮さまと眞子さまは10月5日、パラグアイ政府から勲章「国家功労勲章特別大十字型章」を贈られた。秋篠宮さまは06年、日本人のパラグアイ移住70周年にあたって同国を訪問。眞子さまは16年、80周年にあたって訪問、18年の歌会始(お題は「語」)で眞子さまは、「パラグアイにて出会ひし日系のひとびとの語りし思ひ心に残る」と詠んだ。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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