作家・室井佑月氏は、選択的夫婦別姓制度と同性婚の導入について、慎重な姿勢を示す岸田文雄首相に苦言を呈する。
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10月11日の衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表が、「選択的夫婦別姓制度の導入」と「LGBT平等法制定」の必要性を訴え、岸田首相に見解を求めた。
でも、岸田首相の答弁はのらりくらり。
「選択的夫婦別姓制度の導入については、国民の様々な意見があるところであり、引き続きしっかりと議論すべき問題であると思っております」
「同性婚制度の導入については、我が国の家族のあり方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えます」
「性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見があってはならないと考えます。多様性が尊重され、すべての人々が互いの人権や尊厳を大切にし、いきいきとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、関係大臣が連携してしっかりと取り組んでまいります」
まず選択的夫婦別姓制度について。枝野さんいわく、「大部分が女性である婚姻の一方当事者に改姓を強いるという差別的な制度」だという。その通り。そして、枝野さんは質問の中でこう述べていた。
「選択的夫婦別姓制度の導入を法制審議会が初めて答申したのは1996年。私は初当選以来28年間も、その実現を訴え、何度も議員立法を提案してきました。もはや議論は十分です」
え~っ、この話って28年間もやってるの? なのに、岸田さんはまだ議論するつもりか。多くの女性が不当な扱いに困惑しているのに? 大変なんだよ、結婚し、名字が変わると。保険証でしょ、銀行口座から保険の名義まで、たくさんのものに変更届を出さなきゃいけなくなるしさ。
岸田さん、本当は制度を変えるつもりはないんじゃ……。それも理由は、面倒だから。
自民党内で幅を利かせている日本会議国会議員懇談会所属の議員らは、夫婦別姓も同性婚も絶対に許さない。そして、ハト派といわれる岸田さんの内閣でさえ、日本会議所属の議員は14人もおった。岸田さんは、彼らに逆らうのが面倒なのだろう。