
人生100年時代なんていうけど、年をとっても楽しく過ごすには、何よりも健康であること。体もそうだけど、認知症にならないように頭を働かせなきゃいけません。頭を働かせるには、人と会うことと話をすること。ラジオで「ジジイ」とか「ババア」とか「もう賞味期限が切れてる」なんて、好き放題言っているように思うかもしれませんが、これは一種のショック療法みたいなもの。みんな、オレに言われるとシャキッとして元気になるんですよ(笑い)。
笑顔とユーモアセンスも大事。気難しい顔して、面白くもない話をしたって誰も聞いてくれませんから。
「最近、歩いているとよく物忘れをするんですよ。『歩く(アルツ)ハイマー』なんです」
これ、一般人のジイさんがオレにしてくれた話なんですけど、ユーモアセンスあるよね(笑い)。絶対に老人ホームなんかでも、人気があるに違いないって思います。
オレは健康なほうだけど、生涯で2回の入院を経験しているんです。1回目は子ども時代の発疹チフス。2回目は69歳のときで、2005年の大晦日に、腸閉塞になって緊急入院しました。
年末からずっと腹が張って調子が悪くて、大晦日にいよいよ痛みも腫れも尋常じゃなくなった。自分でクルマを運転して病院に行って診てもらったら、小腸が腹膜に癒着し、破裂直前だったそうです。
■周囲に支えられていることを理解する「入院学」
しかも、手術をしたら腫瘍まで見つかり、けっきょく6時間という大手術になりました。無事に手術を終えて、それから41日間の入院生活を送りました。
当時、聖路加国際病院の名誉院長だった日野原重明先生と親しくさせていただいていたんですが、退院後に日野原先生にお会いしたときに言われたのが、「チャーミングな年寄りになりなさい」ってこと。
「入院すると、医者や看護師、家族、友人など周囲に支えられて生きていることが理解できるようになるでしょう。『入院学』と言って、反省すべきこと、やるべきことも見えてきます。だから、チャーミングな年寄りにならなくてはいけません。チャーミングな人ならとくに、医者も看護師も治してあげたくなります」