75年生まれの私は、「松坂世代」よりも五つ上です。ただ、この言葉が叫ばれ始めた99年当時は24歳であり、まだ「旧世代」に振り分けられるには若過ぎました。しかも、フラフラと海外留学に耽り、すでに就職した同年代から遅れを取っていた身としては、妙に人生を急かされているようで煩わしかったのを憶えています。

 今さらながら、どうして「松坂世代」はこんなにも浸透したのでしょうか。本来は「松坂大輔と同学年の野球選手」を指す言葉だったのが、今や「1980年生まれ」の代名詞になっています。例えば同じ80年生まれならば、「広末世代」なんてのもアリだったと思うのですが。

 しかし「松坂世代」というのは、やたらと「野球」を通して世代観を見出してきた日本人の「古い習性」の集大成だったのかもしれません。何でも「野球」を持ち出すのは「男社会」の典型でもあります。「松坂世代」を経て、日本の男社会は鳴りを潜めていき、その松坂大輔当人もついに引退する2021年。

 ちなみに私は、強いて言うなら「YAWARAちゃん世代」です。谷(旧姓・田村)亮子恐るべし。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2021年11月5日号

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ミッツ・マングローブ

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ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

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