衆院選の応援に入る麻生太郎副総裁(C)朝日新聞社
衆院選の応援に入る麻生太郎副総裁(C)朝日新聞社

 辻元氏の陣営はこう説明する。

「山崎先生は昔からご指導をいただいていており、政界引退されてからも勉強会などでご一緒させてもらっている。それで応援に来てくれた」

 だが、カンカンなのは自民党だ。大阪の小選挙区の中でも10区は激戦区として知られる。

 自民党は前職で当選2回の大隈和英氏、日本維新の会は新人の元府議、池下卓氏が立候補。自民党やマスコミの世論調査では辻元氏がわずかに優勢で、大隈氏と池下氏が追う、熾烈な争いを繰り広げている。

 自民党大阪府連は辻元氏を応援した山崎氏を問題視。除名処分を求める上申書を党本部に提出した。自民党大阪府連関係者がこう話す。

衆院選の真っ最中に党の重鎮である山崎氏が大阪10区にまで入って相手の辻元氏を応援なんてありえない」

 山崎氏が大阪10区に入る数時間前、高槻駅前では自民党の麻生太郎副総裁が同じ派閥の大隈氏の応援に立っていた。また同日、維新の鈴木宗男参院議員も維新の池下氏の応援に来ており、鉢合わせする格好になったという。

「激戦区に与野党の大物が参戦する中、サプライズで山崎先生が登場した。辻元氏もそれに乗じて大きくピーアールするもんだから、余計に注目されてしまった。山崎先生が過去の経緯で辻元氏を支援するのもいいが、さすがに自民党候補者が戦っている選挙中は避けてほしかった」(自民党幹部)

辻元清美氏の街頭演説の告知(SNSより)
辻元清美氏の街頭演説の告知(SNSより)

 自民党の青山繁晴参院議員は29日、大阪1区の候補者の応援演説に立った際、山崎氏をこう糾弾した。

「辻元氏の隣に山崎氏が立って当選させろと言った。私が昨日、主だった自民党の人に電話したら『選挙が終わったら除名します』と言う。そこで岸田首相に電話して『(除名しなければ)優柔不断だと言われますよ』と伝えると、毅然として僕が期待していた通りのお答えでした」

 山崎事務所はこう釈明する。

「辻元氏の選挙応援は自社さ政権の時代から何回もやっており、今回だけではない。注目されたのは、麻生副総裁と鈴木宗男氏と同じタイミングになったからでしょうけど、本人はそのスケジュールをまったく知らなかった。自民党は自社さ政権時代のことを忘れているようだ」

(今西憲之 AERAdot.編集部)

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