コンビニ各社のホームページを調べてみると、セブンでは他にもパウチパックに全8種の具材が入った「7プレミアム おでん」(税込213円)、ファミリーマートはパウチパック入りの「和風だし香る8品目のおでん」(税込220円)、ローソンも全7種が入った「おでん」のパウチパック(税込208円)を販売していた。鍋に変わってチルド商品が充実してきたようだ。ファミリーマートの広報担当者に聞くと、「コロナ対策が取られた売場、販売手法が求められるようになったと感じている」という。パウチパックの他にも、ファミリーマート、ローソン店頭ではドリンク容器のようなカップ入りで、レンジで温めて食べられる商品も売っていた。
コンビニジャーナリストの吉岡秀子さんは「人々のライフスタイルが変化する中、おでんも進化している」と指摘する。
「人気の高いたまごはレンジで温めると爆発してしまうので、チルド商品ではあまり見かけませんでした。しかし今は、爆発しないように半分に切ったりするなど工夫をしてレンジで温めても美味しく食べられる商品がたくさんあります。また、チルド商品は今すぐ食べなくても、買った次の日や週末など、ひとまず買っておいて、自分の好きなタイミングで食べることができます。在宅時間が増えた今のライフスタイルに合っていますね」
社会環境の変化に合わせて変わってきたコンビニのおでんだが、そもそもその歴史は古い。吉岡さんによると、最初にセブンが鍋おでんの販売を始めたのは1977年。以来、各社がブラッシュアップを重ねた結果、秋冬の看板商品に成長し、売り上げを支えてきた。
「出汁だけをとっても、全国をいくつかのブロックに分け、例えば関西は昆布、関東は鰹節といったように、地域の嗜好に合わせて出汁をアレンジするなどかなり研究されています。鍋の中も、具材それぞれのうまみを存分に生かせるよう並び方まで決まっている。入念に開発された、コンビニグルメの代表選手と言っていいでしょう」