コンビニのレジ横で出汁の香りを漂わせる熱々おでん。もはや秋冬の風物詩といってもいい「コンビニおでん」だが、今年はあまり見かけない。SNSでは「近くのコンビニに行ったらどこにもありませんでした」といった嘆きも。コンビニおでんはなくなってしまったのか、取材した。
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「おでんが食べたくて近所のコンビニを回ったんだけど、どこにも鍋が置いてなくて」
編集部員の嘆きを聞いたのは、急に気温が下がったある日。確かに、近頃レジ横におでんの鍋を置いているのを見なくなった気がする。そう聞くと無性におでんが食べたくなり、最寄りのローソンに行ってみたが、確かにおでん鍋の姿はなかった。
どこに売っているのだろうか――。会社のある東京都中央区近くと、自宅のある大田区で、セブン-イレブン(以下セブン)、ローソン、ファミリーマートの計12店舗を回ってみた。するとレジ横に鍋があったのは、セブン、ローソンの2店舗のみだった。行ったタイミングが悪かったようで、その2店舗ともたまたま調理中でありつけなかった。
コンビニのおでんといえば、おでん鍋の蓋を開け、客もしくは店員が具材をよそう提供方法が一般的だ。コロナ禍で、「昨年はおたまの共有や飛沫への不安から買う人が減り、今年は鍋自体を提供する店舗も減っている」と業界関係者は指摘する。
諦めかけて訪れたセブンで「今年はおでん、ないんですね」と店員に話しかけてみたところ、「こちらはどうですか」と勧められたのが、カップ入りのおでん「味しみおでん」だ。鍋ではなく、コーナーに陳列されていた。たまご、大根、ちくわ、厚揚げ、結びしらたきの5種類とつゆが入っており、レンジで温めるだけ。価格は税込み321円だ。
購入し、温めてもらって食べてみた。たまごや大根は半分にカットされ、ちくわや厚揚げも1口から2口で食べきれるサイズ。ちょっとしたおやつにぴったり、という印象だ。おでんを食べるときのもう一つの楽しみであるつゆもたっぷり入っていた。