衆院選が終わり、今後は11月10日の特別国会で首相指名が行われ、今月下旬からは臨時国会が始まる見込みだ。コロナ対策や経済対策など課題が山積している中でどのような国会が展開されるのか。AERAdot.は、主要政党の党首らが選挙最終日の演説で語った内容を分析した政府資料を入手した。この資料をもとに次の国会で期待できる政党はどこなのか、専門家とともに読み解いた。
【画像】主要政党の党首らの演説に対する政府評価はコチラ(全3枚)
まず、与党から検証しよう。自民党の岸田文雄総裁の演説はどうだったか。最後の演説は東京都品川区のJR大井町駅前で行われた。およそ12分の演説だった。AERAdot.が入手した政府資料を見ると、内容は「候補者の紹介」21%から始まり、「コロナ対策」25%、「経済対策」23%、「外交安保」9%、「決意表明等」12%となっている。金持ち喧嘩せずなのか他党への批判はなかった。
総裁選では「令和版所得倍増」「金融所得課税の見直し」「子ども庁の創設」など看板政策を掲げたが、演説ではコロナ対策とそれに絡んだ経済対策の主張が全面に出て、総裁選で語られた看板政策は出てこなかった。自民党の公約でも看板政策は消えており、 “岸田カラー”は完全に希薄化した形だ。
政府資料の分析では
「コロナ対策、経済対策、外交安保をバランスよく説明するも、聴衆を引き付けるパワーワードなし」
「『成長と分配』を強調するも、野党の分配政策との差異が伝わり切らず」
などとなっており、岸田カラーの後退がそのまま評価に表れているといえそうだ。選挙アナリストの岡高志さん はこう見る。
「岸田総裁の演説を見ましたが、迫力がなく、何を訴えているのか伝わってきませんでしたね。可もなく不可もないような内容でした。ただ、失敗はしない感じ。国会でも安全運転で乗り切っていくのではないでしょうか」
公明党の山口那津男代表の最後の演説は、東京都江戸川区の船堀駅前だった。15分程度の演説で、内容は「比例投票の呼びかけ」17%、「コロナ対策」23%、「経済対策」13%、「子ども政策」34%。意外だったのは「立憲批判」が8%と多いこと。さらに「勝たせてコール」5%となっていた。