秋の叙勲や褒章の受章者が今年も発表された。大方の人には縁遠い世界。本人も一生に一度あるかどうかの晴れ舞台で、戸惑うことも多いのではないか。多くの受章者をサポートしてきた日本橋三越本店の担当者に、知られざるマナーを聞いた。
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政府は11月3日付で今秋の叙勲受章者3999人を発表した。デザイナーのコシノジュンコさんや漫画家の萩尾望都さんは旭日中綬章、俳優・宮本信子さんらには旭日小綬章が贈られる。
褒章の受章者717人と29団体も発表され、学術研究や芸術、スポーツなどの分野で活躍した人に贈る紫綬褒章には、小説家の大沢在昌さんはじめ9人が選ばれた。叙勲は国や公共への功労者が、褒章は特定の分野の発展に貢献したり功績があったりした個人や団体が選ばれる。勲章は功績の大きさによって固有の等級があり、褒章は貢献した分野の違いで種類が変わる。
叙勲は毎年春(4月29日付)と秋(11月3日付)にそれぞれ4千人前後、計約8千人が受章する。褒章は幅はあるが年1700件程度。かつての上司ら身の回りの人を含めれば、さほど「遠い話」ではないかもしれない。
「叙勲・褒章の季節ですね 三越におまかせ下さい」
日本橋三越本店(東京都中央区)がこの秋にショーウィンドーに掲げたコピーに注目が集まった。同店は2018年から、紳士服や呉服、婦人服、食品、レストランといった各部門や取引先との連携を強め、受章者の準備を店ぐるみでバックアップしている。
同店の営業計画部でマネージャーを務める白土壽康(しらつちよしやす)さんは言う。
「どの売り場で問い合わせがあっても、体系立ててサポートできる体制を作りました。当店はこれまで多くの受章者をお手伝いしてきたこともあり、各部門に専門的な知識や資格を持つベテランの担当者が在籍します」
受章したら、どんな準備が必要なのだろう。紳士服を担当する第2営業部のバイヤーである岩元智之さんに、男性の受章者の装いについて尋ねた。