1989年皇室会議の朝を迎え、早朝から報道関係者がつめかけた川嶋紀子さんの自宅(後方の学習院大学職員住宅の4階左から2軒目)(c)朝日新聞社
1989年皇室会議の朝を迎え、早朝から報道関係者がつめかけた川嶋紀子さんの自宅(後方の学習院大学職員住宅の4階左から2軒目)(c)朝日新聞社

 31年前の1990年6月。川嶋さんの長女の紀子さまは、天皇ご一家の次男、礼宮さまと結婚した。

 職員宿舎に住む紀子さまが、天皇家の次男と結婚することが明らかになると、マスコミは親しみを込めて紀子さまを「3LDKのプリンセス」と呼んだ。一般的に大学教授といえば不自由はない。にもかかわらず、川嶋家は大学の敷地内の職員宿舎に住んだ。川嶋さんが当時、学習院大学の経済学部教授であると同時に、馬術部の部長を務めていたことも大きいようだ。

「大学の馬術部員は、朝と夕に敷地内にある馬場と厩舎(きゅうしゃ)で馬の世話をする。川嶋教授は、責任者として厩舎の近くに住んだのだと思います」(学習院OB)

 また、川嶋さんは、地域経済の発展を目指す取り組みも国内外で行っていた。その際、現地に足を運び、土地に根付いた文化を守るという姿勢を大切にしていたという。 

 実は学習院の馬術部の活動も、こうした取り組みの一つといえるだろう。同部は馬を通じた人との交流も大切にしており、川嶋さんは99年に、日本の在来馬について研究した論文、「自然環境とヒトの触れ合い─ウマと子供達─」を『茨城県大洋村・沖縄県与那国町の交流384フォーラム報告書』(与那国町商工会同青年部・1999年3月)に掲載している。

 この論文に登場する大洋村は当時、馬を村の地域活性化の軸に出来ないかと模索していた。障害者向けの乗馬療法や小中学生の「生きた授業」の教材に活用することなどを目指していた。大洋村は、学習院馬術部から馬を譲り受けて飼育しており、さらに在来馬である沖縄の与那国馬も増やす計画を立てていた。

 当時の村の事情を知る人物はこう話す。

「川嶋さんは立場上、表には出ませんでしたが、裏から村のプロジェクトを支えていたようです」

◆眞子さんの初の単独公務と川嶋さんの研究の接点

 この川嶋さんの在来馬と人の関わりや地域と経済といった研究は、秋篠宮さまの研究や孫の眞子さま悠仁さまの公務や「学び」にもつながっている。

 家禽類の研究で理学博士号を取得した秋篠宮さまは、動植物に造詣が深い。秋篠宮さまは、ニワトリなど生物だけを対象とするのではなく地元の人たちの話に耳を傾けて、家禽類や自然、人との関わりなど総合的な視野を大切にする。 

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川嶋さんの研究と重なる眞子さまの初公務