本作で初めて演劇の聖地・本多劇場の舞台に立つ井上。だが、気負いは全くない。「どの劇場でも、呼んでいただけるなら精一杯演じるだけです」(hair & make up 川端富生/styling 吉田ナオキ/costume CULLNI/photo 写真映像部・高野楓菜)
本作で初めて演劇の聖地・本多劇場の舞台に立つ井上。だが、気負いは全くない。「どの劇場でも、呼んでいただけるなら精一杯演じるだけです」(hair & make up 川端富生/styling 吉田ナオキ/costume CULLNI/photo 写真映像部・高野楓菜)

■コロナ禍で知ったこと

井上:台本の続きは誰もわからない、という状態が続きましたが、「わかることをしたいわけではなく、わからないことが楽しい」という人たちが集まりお芝居をしていたと思います。お客さんも基本的には初めてのものを観にいらっしゃるわけですから、そうしたことも含め一緒に楽しめたらいいのかなと思います。

──ここ数年はコロナ禍により、ミュージカルでも演劇の世界でも、困難な時期を過ごした。

井上:舞台に立つことが僕の仕事なので、基本的には舞台に立てる限りはずっと立たせてもらっていました。そこで知ったのは、「舞台の上では変わりようがない」ということ。もちろん、観客の皆さんはマスクをしているため、以前のように歓声が耳に届かない、ということはあります。けれど、ひとたび舞台が開ければお客さんの前に立つことに変わりはないですし、表現の中身が変わるわけでもない。

 とはいえ、これまで以上に舞台に立つことの尊さは感じています。こうした状況だからこそ、「やりたいことをやっていきたい」という思いは強まりました。中途半端な思いで舞台に立ったり、「仕事だから」と軽い気持ちで続けたりするほど、この2、3年の状況は甘くはなかった。大変な思いをしてやるのだから、本当に自分がやりたいことをやっていきたい。コロナ禍が明けても、そうした気持ちは大切に持っておきたいと思っています。

(構成/ライター・古谷ゆう子)

AERA 2022年11月14日号

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