※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 覚えておいてほしいことは、大人になってから新しくできたほくろは体のどこの部位であれ注意が必要だということです。

 この悪性黒色腫は爪にできます。しかも日本人では爪の悪性黒色腫が多いと言われています。爪に黒い線が入っている人は皮膚科専門医に診てもらうことをお勧めします。

 同じく黒いがんに基底細胞がんがあります。基底細胞がんは、めったに転移することがない皮膚がんですが放置しておけば骨を溶かすほど増大します。高齢者の顔にできやすいがんで、特に鼻の周辺は発症頻度が高くなります。

 診断は比較的簡単で、皮膚科専門医であればダーモスコープという虫眼鏡に近い道具を使ってほぼわかります。病変を拡大すると黒い点々が集合し毛細血管が枝のように伸びて見えるのが特徴的です。診察で基底細胞がんを疑えば皮膚の一部を取る検査、生検を行います。

 治療は基本的には手術を行います。しっかりと取り切れれば再発することや転移することもなく、完治したと言っていいでしょう。

 年をとって顔にでてきた黒いシミも皮膚科専門医で一度診察してもらったほうがいい皮膚症状の一つです。

 今回は、悪性黒色腫と基底細胞がんの二つの皮膚がんを紹介しました。皮膚にできる黒い腫瘍は脂漏性角化症という良性の腫瘍の場合が多いですが、悪性のこともあり診断をつける必要があります。特にここ半年で大きくなってきたと感じる人は悪いサインですので、ぜひ一度皮膚科を受診してください。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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