――3回目のブースター接種の有効性は高いのでしょうか?

 新型コロナウイルスのワクチンは、2回の接種でも重症化を防ぐ効果は持続しているとされます。しかし、感染そのものや発病を防ぐ効果は落ちてきます。

 抗体量は、1カ月で約2分の1に、2カ月で4分の1、3カ月で8分の1というように減っていきます。抗体が減るのは当然のことなのです。もし、抗体が減っていかなかったら、私たちは病気に罹るたびに、もしくはワクチンを打つたびに、高い数値の抗体が血液に溜まったままになってドロドロになってしまうでしょうね。

 抗体量が減ると感染を防ぐことはできなくなるので、ブレークスルー感染が起きてしまうのは仕方がないことです。抗体は減っていても、抗体を作る細胞は残っているので、感染した場合は直ちに抗体を増産し、発症や重症化を防ぎます。ブースター接種を受けることで、予め抗体を増産させておけば、感染そのものを防ぐことができます。

 海外の事例では、接種から時間が経過すると発症する人が段々と増えていったり、発症はしなくても感染するというブレークスルー感染を起こす人も増えたりしています。

 10月に米国のコリン・パウエル米元国務長官(84)が新型コロナにブレークスルー感染して合併症を起こして亡くなりましたが、もし医療施設や介護施設などでブレークスルー感染が起こると、特に高齢者や基礎疾患のある人は重症化や死亡する可能性もありますので、そうした悲劇を少しでも減らそうと思えば、2回目接種をして時間が経過した人から3回目を打つ意味は大きいと思います。

――3回目のワクチンは、1回目と2回目で打った種類と同一にすることを厚労省は基本としています。今後、検討される交互接種についてはどう思いますか。例えば、1回目、2回目にモデルナのワクチンを受けて、3回目にファイザーを打つなど。

 3回目も同じ種類にするのが原則です。ファイザー社もモデルナ社も、それぞれの製薬会社が、自社製品の3回目を接種した場合の安全性と有効性についてデータを出していて、エビデンスレベルが高いです。交互接種をしても医学的に考えて問題が起きることは考えにくいですが、十分なデータは得られていません。原則は同一種類がいいでしょう。

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