――例年、冬になるとインフルエンザが流行しますが、新型コロナワクチンとインフルエンザの予防接種とでは、どちらを優先したらよいでしょうか。

 まだ1回も新型コロナのワクチンを打っていない人であれば、1回目と2回目の接種をするのが最優先だと思います。新型コロナの方が、インフルエンザよりも重症化のリスクが高いです。

――新型コロナの3回目接種とインフルエンザの予防接種では、どちらを優先すべきでしょうか。

 インフルエンザの予防接種は現時点でも予約可能だと思うので、まずこちらを先に接種して欲しいです。それから2回目の接種を終えて8カ月以上経っている高齢者のブースター接種が開始されるタイミングになると思います。現時点では一方を接種してから2週間空けることになっていますので、先にインフルエンザを予約してから、新型コロナの3回目の日取りを決めるという順番が良いかと思います。

 インフルエンザも毎年死者を出す病気です。昨冬に流行らなかったので、社会全体の集団免疫が落ち、この冬に流行ることが懸念されています。インフルエンザは、地球から消えずにどこかで流行っています。新型コロナについては空港で検疫がありますが、インフルエンザについてはチェックしていませんので、国と国の行き来が盛んになるにつれて入ってくる可能性も高くなっていきます。新型コロナの感染者が減って、感染対策にも気の緩みが出ているタイミングでもあり、両方が流行ってもおかしくないかと思います。

 新型コロナとインフルエンザでは、どちらも症状が似ていますけども、インフルエンザは抗インフルエンザ薬を直ぐ処方できます。新型コロナに対する経口抗ウイルス薬もそのうち使えるようになるでしょう。どちらも、ウイルス量が少ないうちに薬を使えば重症化を防ぐことができます。そのためには、患者の数を増やさないようにするとともに、ハイリスクの人が発症後に直ちに検査して診断をつけ、治療が受けられる体制を整えることが重要になってきます。

 第5波のような医療崩壊を招かないためにも、この冬に向けたワクチン接種の計画を立てたい。

(AERA dot.編集部 岩下明日香)

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